猫といねむり。

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腎不全治療の新薬(ネコHGF注射)
2007/11/06 02:08

●はじめに

これまで大病もなく比較的健康に過ごしているように見える猫さんでも、高齢になると腎不全状態になっていることがあります。血液検査および尿検査、場合によってはエコー等が診断の根拠として用いられています。

●猫の慢性腎不全状態とは?

・猫さんの体重が徐々にあるいは急激に減ります
・栄養が行き渡らず皮膚の艶がなくなります
・栄養不足から難治性の口内炎が生じることがあります。
食欲が低下嘔吐をすることもあります。
水を多量に飲むものの脱水が生じます。
・無色透明でほとんど匂わない尿を多量にします。
トイレを失敗することもあります。
嗜眠傾向も強くなりほとんどの時間を眠って過ごします。
人間の腎不全と同様に猫の腎不全も進行性で不全状態が治ることはありません。しかしその進行を緩やかにするための対症療法が行われています。

●治療法は?

猫の腎不全でおこなわれている対症療法のうち、比較的初期の腎不全の場合には活性炭投与腎疾患に配慮された療法食を中心とする食事療法が、中期に進むと皮下への輸液療法が、重度になると静脈への輸液療法が一般的プロトコルとなっています。

腎性貧血の緩和としてエリスロポエチン注射や輸血療法が、高血圧対策として強心薬や降圧剤、ACE阻害剤の投与があります。透析療法として腹膜透析血液透析*1を実施しているところもあります。稀に腎移植も実施されています(とりわけ於アメリカ合衆国。参照:Feline Renal Transplant Programweb魚拓]@Ryan HospitalSchool of Veterinary Medicine, Universeity of Pennsylvaniaup!Feline Kidney Transplants)。


●腎移植の困難と新薬の開発

人間の腎不全の治療の場合と異なり、猫の場合は腎不全の原因疾患を厳格につきとめて治療することはほとんどありません。尿毒が急激に進むと実効性のある療法が少なくなります。また猫だけでなく人間の腎不全治療でも腎移植にはさまざまな困難が伴っています。詳細は少ない臓器提供 < 腎不全と透析療法@腎移植Q&A(トランスプラント・コミュニケーション)をご参照ください。

そこで肝細胞増殖因子 HGF(hepatocyte growth factor)を使った新薬開発が始まっており、その対象にまずネコの慢性腎不全が選ばれています。

全薬工業株式会社クリングルファーマ株式会社のプレスリリース[PDF][html](2005年4月6日)によると*2

プレスリリース

●新薬開発の進捗状況

NEDO(技術開発機構)の公募により採用されたプロジェクト名:バイオプロセス実用化開発(18年度終了プロジェクト;プロジェクトコード:P04014)として採用・終了しています。「バイオプロセス実用化開発」(事後評価)分科会にて資料が順次公開されていくものと思われます。
 ↓↓↓↓↓
現時点(2007.11.6)では第1回「バイオプロセス実用化開発」(事後評価)分科会(平成19年7月27日)の資料のみ公開されています。こちらでは配付資料のダウンロード可能です。ただしプロジェクトの詳細については非公開となっており議事録にも記載はありません(ので読むことはできません)。

以下は資料5-2の関連事項のみ画像を抜粋したものです。

これらによると「現在はネコHGF注射用サンプルを用いて動物用医薬品の開発試験を実施中。」であり「2010年に動物用医薬品としての承認取得、2011年発売」を「目処に実用化する予定」とのことです。

表紙
管理体制
各社の事後評価

全薬工業1枚目
全薬工業2枚目

*2007.11.6現在での公開資料は第1回のみです。タンジェリン色の下線は筆者によります(以下も同様)。



[追加情報] 2009-01-24 up!

@NEDO
 ・バイオプロセス実用化開発(18年度終了プロジェクト)
  (page sourceのdateは2008-08-18)
  >「実施方針:平成18年度」[<a href="http://www.nedo.go.jp/activities/portal/gaiyou/p04014/h18jisshi.pdf
">PDF]

↓ 該当部分(10頁)抜粋 ↓
HGF進捗

画像拡大



@特許申請状況  c.f. 特許権を取るための手続@特許庁

 ・特許出願公開情報web魚拓
  ‥特許出願日:平成19年2月9日(2007.2.9)
   公 開 日:平成20年8月28日(2008.8.28)


[現時点での猫の慢性腎不全治療について参考になるページ]

●人間について
 ・腎不全 治療法ガイドライン
 ・高血圧と腎臓病@札幌厚生病院循環器科


●猫について@日本語
 ・猫の慢性腎不全―FELINE CHRONIC RENAL FAILURE(患者用)
 ・猫の慢性腎不全―FELINE CHRONIC RENAL FAILURE(獣医師用)
 ・意外に多い(?)猫の腎性高血圧症について


●猫について@英語から日本語への翻訳 
 ・定期購読雑誌Veterinary Focus--世界の小動物臨床サンプルPDF(WALTHAM Focus Vol.12 No.2 (2002))(マスターフーズリミテッド提供)
*獣医師向け。日本語。カラー印刷。画像も豊富で分かりやすい。
*各分野の第一人者による執筆なので患者が腎疾患のプロトコルを知るのに役立ちます。

・「高齢の猫の慢性腎不全」p4-9.Jonathan Elliott MA, Vet MB, PhD, Cert SAC, DipECVPT, MRCVS., Royal Veterinary College, London, UK
・「猫と犬における腎機能の評価」p10-14 Dr. Markus Haller Dr. Med. Vet., Dipl ECVIM-CA.,Kleintierpraxis HallMa, Oberdorfstrasse 4, Boniswil, CH-5706, Switzerland
・「犬のタンパク尿:タンパク尿の測と解釈法 何故それが重要か?」p15-20 Gregory F. Grauer DVM, MS, DipACVIM (Internal Medicine) Department of Clinical Sciences, College of Veterinary Medicine, Kansas State University, Manhattan, Kansas, USA. c.f.@THE WSAVA 2002 CONGRESS
・「WSAVA最新情報 猫の高カルシウム血症」p21-23 Dennis J. Chew DVM, DipACVIM.,Ohio State University, Colombus, Ohio, USA
・「ウォルサム切り抜き保存用ガイド 尿検査の手引き」p24-25 Gregory F. Grauer DVM, MS, DipACVIM (Internal Medicine)
・「WALTHAM Viewpoint 慢性腎不全の猫の管理−個々の猫の必要に応じて…」p26-27 Jonathan Elliott MA, Vet MB, PhD
・「慢性腎機能障害を伴う高血圧症の猫」p28-33 Scott A. Brown VMD, PhD DipACVIM.,Departments of Physiology-Pharmacology and Small Animal Medicine, College of Veterinary Medicine, University of Georgia, Athens, GA 30602, USA

●猫について@英語
 ・Feline Renal Transplant Programweb魚拓up!
 @Ryan HospitalSchool of Veterinary Medicine, Universeity of Pennsylvania
 ‥腎移植について。最高齢18歳の猫への実施例あり(Recipient selection--the oldest cat that has been transplanted was 18 years of age.)。移植後最長8年間生存[テキスト公開時点](Success rate of feline kidney transplantation at Penn Vet--Our longest survivor to date (5/5/2006) lived for eight years following his transplant.)。

 ・Tests and Diagnostics‥諸検査と診断について
 ・Management of CRF‥獣医さんとのコミュニケーション、自宅での輸液療法等について
 ・Medications ‥治療方法について


[注釈]

*1 「猫 血液透析」で googleで検索してみると川崎市の動物病院伊勢原市の動物病院富山県の動物病院にて機械の画像を見ることができます。血液透析については猫さんへの実施(機械の稼働率)がそれほど高くありません。そこで実施される獣医さんの技量が大きく問われます。ご自身が受診する際は獣医さんに猫さんへの実施率や実施件数とその予後についておたずねになること、副作用(脳浮腫)などについて詳しくお聞きになることが肝要です。関西ではネオ・ベッツVRセンターに血液透析の機械があるそうです。なお血液透析には全身麻酔が必要です。

*2 このほか最新情報-掲載記事-ニュースリリースもあります。

※[猫が慢性腎不全と診断されたら]もまとめています。[携帯版


[追記]

・2008-10-11 VETERINARY FOCUS のURLが変更されていましたのでリンクを更新しました。

・2008-09-11 ●猫について@英語に猫腎移植についてのリンクを追加しました(Feline Renal Transplant Programweb魚拓])。

・2009-01-24 NEDOの公開情報と特許申請情報を追加しました。

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