猫といねむり。

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猫にインターフェロン(ビムロン?)
2008/01/26 02:54


↑ 5g/袋は製造終了(2008-06現在)
2008-09-08より日本全薬工業様にて販売再開 ↑

ビムロン?は動物用医薬品「天然型ヒトインターフェロンアルファ」(経口投与型)です。適応症は1ヶ月齢未満の仔牛の「ロタウィルス感染症による軽度下痢の発症日数の短縮、症状改善、増体量低減の改善」です(出典:動物用医薬品データベース 商品名に「ビムロン」と記入してGoをクリックしてください)。現在、輸送後の呼吸器疾患の発症率の低下、重篤化の抑制を効能追加する申請に対する審議がなされています。*1

[参考URL]

・製造:BioVet株式会社
 ‥「2004/07/16 天然型ヒトインターフェロン-α経口投与剤「ビムロン?」が農林水産省の承認を受けました」・「ニュースリリース(平成16年7月22日)

・共同開発会社:(株)林原生物化学研究所
 ‥合同プレスリリース

・販売:
 ・大日本住友製薬株式会社(5g袋は2008年3月で取り扱い終了。)
 ・日本全薬工業@全国(2008年9月8日より5g袋を販売。) up!
 ・エコファーマ・ドットコム(株)@北海道(5g・40gともに販売。)  up!


●インターフェロンとは?

「インターフェロン」はもともと身体のなかにあるタンパク質です。免疫を調整したり、身体のなかに入ったウィルスに抵抗したり、身体のなかに新しくできる腫瘍の増殖を抑えたりする作用があります。

免疫疾患を持っている場合(猫も人間も)このような働きを自分でできません。そこで外から補うことで身体の免疫調整をしてもらうことになります。補うときには動物種にあったインターフェロンを使うほうが理論的には効果が高くなります。そのために時間と費用をかけてわざわざ作られています。ネコインターフェロンから作られる「インターキャット」がそれです。

ただし動物種によって得られる効果が異ならないインターフェロンであればすでに開発したものをそのまま利用して効果を得ることができると考えられています。それがインターフェロンアルファから作られている「ビムロン?」です。ヒトインターフェロンを使っています(由来はヒトのB細胞)。これを牛なら牛、猫なら猫にとさらに開発すればそれぞれの動物種に応じて高い効果を得られるはずですが開発費用がかかりすぎますのでなされていません。


●作用機序と有効性

ビムロンがなぜ効くのか(作用機序)はよく分かっていません。しかし適応症である下痢には「確かに効いている」という評価がなされています(<a href="http://www.fsc.go.jp/iinkai/i-dai47/dai47kai-gijiroku.pdf
">第47 回食品安全委員会(平成16年6月3日(木)議事録10-13頁参照)。

仔牛の下痢に抗生物質を使うよりはインターフェロンで予防できればそれにこしたことはない、ということです(第38回食品安全委員会(平成16年3月25日(木)の議事録5頁参照)。


●猫に適応外処方される理由

上述のように適応症は仔牛に限られたもので猫への投与は適応外処方です。それにもかかわらずビムロン?を猫に利用する例は少なくありません。

その理由は
・インターフェロンアルファは種特異性が低い。*2
 →動物種による効能の差が出にくく猫にも効く可能性が高い。
微量経口投与する。
 →週に数回〜毎日微量(2.5mg/kg前後)を継続利用可能(低コスト)。
・タンパク質なので消化・分解され体内吸収されない
 →抗体が生じないので副作用の心配がほとんどなく体内残留もない。
と考えられていることにあります。

なお、インターフェロンの抗ウィルス効果を期待するのであれば他のインターフェロン製剤 -- 猫の場合は「インターキャット」*3 --よりもさらに予防的な投与 *4を心がけると効果を得やすくなるようです。


●安全性

マウス、イヌ、ウサギ、ラット、サルについて投与した場合に異常が認められないことは確認されています(出典:動物用医薬品「牛用インターフェロンアルファ経口投与剤(ビムロン)」に関する意見・情報の募集についての公表資料から@第47回食品安全委員会)。

猫は実験対象になっていません。上述のようにインターフェロンアルファは種特異性が低いので猫の場合も大丈夫だろう、とは言うことができます。しかし上述の動物たちのようにビムロン?投与により「異常は認められない」という実験結果がありません。

そこで投与を考える場合には猫さんを診て戴いている獣医さんとしっかり相談することが必要になります。インターネットで調べて理解することには限界があります。猫さんを直接診察して処方していただく獣医さんと直接相談して理解を深めていくことが納得できる獣医療を受ける一歩になると思います。


●開封してみました



なかに小袋が入っています(5g)。5gを微量と思われるかもしれません。しかし5g=5000mgです。身体の小さな猫さんが利用するのに少なくない分量です。たとえばステロイド剤(プレドニン)にあてはめると1錠は5mgですので5000mgは1000錠分(!)に相当します。

1g 取り出してみました(画像)。無味無臭の白色の粉で触ると「さらさら」しています。静電気で飛んでしまいます。微量を口に含むと本当にごくごくわずかに甘みを感じます。

[追記]up!

・2008-06-06 5g袋の製造が終了となり、2008-06現在の最小単位は40gとなっています。

・2008-09-05  5g袋についてBioVet様に問い合わせをしました。今春〜秋にかけて5g袋の入手が不可能になったのは、2008年3月、大日本住友製薬様の販売扱いが中止になったためでした。2008年9月8日より日本全薬工業様での5g袋販売が開始になります。日本全薬工業様は全国に販売網があります。これまで通り、獣医さんからの5g入り袋の入手が可能になる可能性が高いと思われます。北海道ではエコファーマ・ドットコム(株)様で5g・40g袋の扱いがあります。詳しいことは、かかりつけの獣医さんにお確かめいただけますと幸いです。以上から、私自身の確認が不十分で、このサイトにて「5g袋製造中止」と書きましたことをお詫び申し上げます。


●ビムロン?の保管方法について

ビムロン?はタンパク質です。湿気があると食品と同じように腐ったりカビが生えたりします。腐ったりカビが生えたビムロン?を利用すると身体に害になります。そこで開封後は湿気をできるだけ避ける保管方法を採る必要があります。5g入りの袋のままで購入した場合であれば日常的に使う分量分とその残りの分量分とを分けて別々に保管すると残りの分量分の劣化を遅らせることができます。

※冷蔵庫に保管することは低温保管を意味し防湿にはなりません。湿気を避けるために乾燥剤を必ず一緒に入れておきます。その場合でも冷蔵庫から取り出したあとすぐに取り出すのではなくゆっくりと室温に戻してから開封することで結露防止をすることが必要です。


袋には「湿らないように」「室温保存」と書かれています。


◆日常的に使う分量分の保管方法

短期(約1週間)に使う分量のみを小袋のなかには手を触れないようにとり出します(スプーン等を小袋のなかに入れないようにします)。取り出した分量のみを別に保管してそこから使うようにします。残りの分量分を空気に触れさせてしまう機会が少なくなりますので湿気防止細菌汚染防止に役立ちます。

保管方法は下記の「◆残りの分量分の保管方法」を応用したものです。




◆残りの分量分の保管方法

未開封であれば賞味期限が30ヶ月あります(出典:開発元プレスリリース動物用医薬品データベース)。

できる限り未開封状態に近づけて保管することを目標にして湿気に注意した密閉を心がけます。密閉した容器の保管場所も温度変化の少ない場所にします。室温も高温になりすぎないように配慮します。






[注釈]

*1 農林水産省薬事・食品衛生審議会 動物用医薬品等部会平成17年6月3日会議[議事録PDF])参照。


*2 食品安全委員会第9回動物用医薬品専門調査会(平成16年4月27日(火))[議事録PDF]5〜21頁参照。インターフェロンアルファの種特異性に関する質疑は13-14頁参照。農林水産省薬事・食品衛生審議会 動物用医薬品等部会平成16年3月2日会議[議事録PDF]では「マウスが牛に外挿できるか」が質疑対象になっている(関連部分は50頁以下、引用は54頁)。


*3 [動物用医薬品]ネコインターフェロン(組換え型)製剤インターキャット?Intercat?添付文書(2005年5月改訂)参照(製造販売業者 東レ株式会社、発売元 共立製薬株式会社)。「■使用上の注意 【対象動物に対する注意】1 制限事項 ‥(3) 早期治療に使用すること。末期の症例や他の疾病との合併症に使用すると、まれに症状の悪化をみることがあるので、投与は慎重に行い、異常が認められた場合は投与を中止し、適切な処置を行うこと。」同添付文書表面。同剤の副作用情報等は動物用医薬品データベースを参照のこと。

[追記]2008-04-17:インターキャットの詳細については、植田吉純「シルクの新しい世界 インターフェロン生産への蚕の利用」『シルク情報』2006年10月。★リンク切れ★(キャッシュ)参照。栗原 宏征、井戸 隆喜、山田 勝成「カイコを用いたタンパク質医薬品製造」繊維学会誌Vol. 63 (2007) , No. 9 P_266[PDF]参照。 植田 吉純、桜井 徹、笠間 協子、佐藤 雄一郎 、厚見 和則、塙 真也 、内野 富弥、矢内 顯 「遺伝子組換えネコインターフェロンのネコにおける薬動力学的特徴と2', 5'-オリゴアデニル酸合成酵素の誘導」日本獣医学雑誌 Vol.55, No.1(19930215) pp. 1-6 もある。


*4 赤井誠(執筆当時:日本中央競馬会 栗東トレーニングセンター 競走馬診療所)「競走馬の輸送熱はインターフェロンαで予防できるか?」[PDF財団法人軽種馬育成調教センター発行『BTCニュース67号参照。藤本慶、中西信夫、奥村融、三輪尚克、高橋克成「nHuIFN-αの低用量経口投与による哺乳豚の下痢症予防および発育促進効果」動物臨床医学 Vol. 15 (2006) , No. 2 pp.27-31[PDF

対症療法に使われ効を奏した例もあります。鈴木真一「天然型ヒトインターフェロン−α製剤投与が有効であった肺炎の2症例」日本家畜臨床学会平成18年度研究発表会(2006年11月)[PDF]参照。

c.f., 大塚浩通、鴇田真弓、高橋克成、増井真知子、小比類巻正幸、林智人、安藤貴朗、渡辺大作、川村清市「黒毛和種子牛に対するインターフェロンαの経口投与による末梢血単核球の反応(内科学)」 日本獣醫學会会誌Vol.68, No.10(20061025) pp. 1063-1067.


*5 ビムロンの製造承認に関する審議経過です。




[謝辞]

筆者のかかりつけ獣医さんではビムロンの処方例がありませんでしたのでBioVet株式会社様に問い合わせをさせて戴きました。ご対応くださったK獣医様にビムロンの特性と保管方法について詳しく丁寧に教えて戴きました。またインターフェロン製剤の猫への投与および免疫機構への作用機序を理解するための文献を多々ご教示戴く労をおとり戴きました。深謝いたします。

またビムロンの保管方法については上記製造元様のほかヒト用の医療用医薬品を扱う調剤薬局さんの薬剤師さんなど複数の薬剤師さんに教えて戴いた方法を採用しています(処方していただいた獣医さんへの報告と内容の確認も済ませています)。上記乾燥剤、ジップロック、薬剤缶を調剤薬局様から戴きました。深謝致します。なお薬剤師さんにはビムロン?についての情報を提供させていただいてお伺いしています。ただしインターフェロン@人間用を日常的に扱ってはいらっしゃいません。

この場をお借りしてお忙しいなか労をとっていただきました皆様に感謝申し上げます。


[追記]

・2008-09-05 本文の文頭と文中に5g袋の販売再開について追記しました。5g袋の販売元が大日本住友製薬(〜2008年3月)から日本全薬工業(2008年9月8日〜)に変更になったことが原因で動物病院での入手が難しくなっていたようです。下記6月6日の追記情報について私自身の確認が不十分で誤りがございましたことをお詫び申し上げます。なお、北海道ではエコファーマ・ドットコム(株)にて5g・40g袋の販売取り扱いもあります(コメント&本文追記)。

・2008-06-06 本文の文頭と文中に5g袋の製造終了について追記しました。最小購入単位は40gとなっています。

・2008-04-17  注釈*3にインターキャットに関する論文情報を追記しました。以前拝読した論文が削除されています(キャッシュではテキストを読むことができます。しかし画像を見ることはできない状態です)。

・2008-03-25 旧ブログのコメント欄で記述した有効性作用機序安全性を本文のなかに組み入れました。それに伴い謝辞を本文より抜粋して後記としてまとめました。



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